敏感肌ってどんな肌?【元化粧品研究員が解説】

敏感肌の基礎知識

敏感肌ケア研究所では、元化粧品メーカー研究員が「敏感肌でもスキンケアを楽しんでほしい」という想いを込めて、敏感肌のための正しい美容情報を発信しています。

最初の記事のテーマは『敏感肌ってどんな肌?』
敏感肌のスキンケアについて学ぶ前に、まずは「敏感肌」について知るところからはじめましょう!

なな
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「そもそも敏感肌ってなに?」という初歩の初歩から、わかりやすく解説します!

敏感肌とは?

敏感肌とは、一般的に肌のバリア機能が低下して、外部からの刺激に対して過剰に反応してしまう肌のこと。健康な肌の方に比べて、少しの刺激で、赤み・かゆみ・痛み・ひりひり感などの不快な症状を感じやすくなっている状態をさします。

敏感肌の主な原因はバリア機能の低下です。バリア機能が低下すると、通常は問題ないようなちょっとした刺激でも、肌トラブルが起こりやすくなります。

肌のバリア機能とは

敏感肌には肌のバリア機能が密接に関わっています。

肌のバリア機能とは、アレルゲンや細菌などの異物が皮膚に侵入するのを防いだり、皮膚の内側の水分が蒸発するのを防いだりする働きのこと。

肌のバリア機能が低下すると、外からの刺激による影響を受けやすくなり、肌の赤みやかゆみ、痛みなどの肌トラブルが起こりやすくなります。

肌のバリア機能には、外部刺激から肌を守る物理的なバリアと、内部の水分を外に逃がさないようにするうるおいバリアの2つの働きがあります。

バリア機能が低下している敏感肌では、外からの刺激を受けやすくなるだけでなく、うるおいバリアが低下して肌が乾燥しやすくなります。肌が乾燥すると、肌表面に小さな亀裂が生じやすくなり、これがさらに敏感肌を悪化させる原因となります。

バリア機能を構成する3つの因子

肌のバリア機能には、皮膚の一番外側にある「角層」に存在する3つの保湿因子「細胞間脂質」「天然保湿因子(NMF)」「皮脂が重要な役割を果たしています。

細胞間脂質

角層細胞同士の隙間を満たす脂質。主な成分はセラミド(約50%)、脂肪酸コレステロール

細胞間脂質は水となじみやすい親水基と、油となじみやすい親油基の両方を持っていて、水分層と油分層がサンドイッチ状に何層にも重なり合った「ラメラ構造」と呼ばれる立体構造を形成し、水分などを挟み込んで保持します。

天然保湿因子(NMF:Natural Moisturizing Factor)

皮膚にもともと存在する保湿成分のこと。主な成分はアミノ酸肌の水分を抱え込み、角層内のうるおいを保ちます。

皮脂膜

皮脂腺から出る皮脂(油分)と、汗腺からでる汗(水分)が混ざり合ったもの。天然の保湿クリームとして、肌の表面を覆い、水分の蒸発を防ぎます。

敏感肌の分類

敏感肌には皮膚科学的に明確な定義がなく、その分類には諸説ありますが、健常肌と疾患肌の間にあるさまざまな状態が含まれます。

セラミドに着目した敏感肌のスキンケアより

皮膚の特性から敏感肌を分類すると乾燥性敏感肌」「脂性敏感肌」「感覚過敏肌の3つのタイプに分けられます。

乾燥性敏感肌

角層のバリア機能が低く、乾燥して皮脂量が少ない肌で、乾燥による粉ふきかゆみ赤み感覚過敏症状が多く見られます。

脂性敏感肌

角層のバリア機能が低く、皮脂量が多い肌で、症状としては赤みかゆみニキビ感覚過敏症状などが見られます。皮脂の分泌量が多いため、毛穴が目立つ例が多いのも特徴です。

感覚過敏肌

角層のバリア機能は正常で、肉眼的には症状が見られず健常肌と変わらない肌ですが、健常肌とは違って感覚過敏症状があり、化粧品や成分に対してピリピリ感やむずむず感といった刺激を感じるという特徴があります。

感覚過敏症状

感覚過敏症状は、少しの刺激でピリピリ感やむずむず感などを感じやすくなる症状で、どのタイプの敏感肌にも共通して見られます。

スティンギングテスト(刺激物質に対する皮膚刺激感受性テスト)や、皮膚に流した電流に対する感受性を調べる CPT (Current perception threshold) 値で定量化することができ、敏感肌ではスティンギングテストのスコアや CPT 値が健常肌に比べて有意に高いことがわかっています。

皮膚刺激閾値が低下するのは、表皮内の角層直下まで神経線維が伸長することが原因と考えられています。
神経線維の表皮内侵入には NGF(神経成長因子)の増加が関与しており、敏感肌では角層内の NGF 量が非敏感肌よりも多いことが報告されています。

敏感肌の原因

敏感肌は主にバリア機能の低下によって起こりますが、バリア機能が低下する原因は外的要因内的要因に分けられます。

外的要因

外的要因には、乾燥紫外線気温や環境の変化花粉やハウスダストなどのアレルゲン過剰なメイク不適切なスキンケアなどがあります。

内的要因

内的要因には、ストレス睡眠不足食生活の乱れホルモンバランスの変化加齢による皮膚機能の低下などがあげられます。

敏感肌の対策方法3つ

敏感肌の原因や症状はさまざまですが、乾燥や紫外線、食生活の乱れなど、バリア機能を低下させる原因を取り除きスキンケアや生活習慣を改善することによって、対策することが可能です。

①正しいスキンケア

敏感肌を改善するためには、毎日のスキンケアが重要です。敏感肌に合った正しいスキンケアで皮膚のバリア機能を整えましょう。

自分の肌に合った化粧品を選ぶ

敏感肌が気になる方は、なるべく肌に刺激を与えない低刺激・敏感肌用の化粧品を選びましょう。

肌に合う化粧品や成分は人によって違うので、まずは少量で試して、自分の肌に合う化粧品を選ぶのがおすすめです。

しっかり保湿する

乾燥は敏感肌の大敵です。保湿力の高い化粧品で、しっかり保湿しましょう。

特に洗顔後はすぐに保湿することを心がけ、肌に負担をかけないように、少なすぎず適切な量の化粧品をこすらずやさしく使用しましょう

紫外線対策を徹底する

敏感肌を防ぐには、紫外線対策も重要です。ちょっとした外出でも、日焼け止めや日傘などを使って紫外線から肌を守りましょう。

敏感肌の方は紫外線吸収剤で赤みや刺激を感じる場合があるため、紫外線吸収剤が合わない方は「紫外線吸収剤不使用」と表示された日焼け止めを選ぶと安心です。肌への負担を考えて、日常生活で使う日焼け止めは SPF30程度で、洗顔料やせっけんでも落としやすいものがおすすめです。

引用)日本化粧品工業会 紫外線防止の基本

②生活習慣の改善

日々の生活習慣や食事にも気を配り、肌の負担を減らす工夫をすることが、敏感肌の改善につながります。

  • バランスの取れた食事:ビタミンやミネラルが豊富な食事を心がけ、肌の健康を内側から支えます。
  • 十分な睡眠:肌の修復は睡眠中に行われるため、質の良い睡眠を確保することが重要です。
  • 適度な運動:血行が促進されて代謝が上がり、ツヤのあるみずみずしい肌へと導きます。
  • 水分補給:水分を十分にとることで、体内の毒素を排出し、肌の乾燥を防ぎます。

③悪化したら皮膚科へ

敏感肌の方は、正しいケアを行っていても、体調や季節の変化などによって皮膚症状が悪化してしまう場合があります。症状が治まらないときは自己判断せず、皮膚科を受診して医師の診察を受けましょう

まとめ

当記事では「そもそも敏感肌ってどんな肌?」というところから、原因と対策まで解説しました。

敏感肌の症状や原因は人それぞれなので、自分に合った対策方法を見つけることが重要です。
ここで紹介した内容を参考に、生活習慣やスキンケアを見直して、健康的な肌を目指しましょう。

この記事を参考に敏感肌への理解を深め、敏感肌の改善に役立てていただけたら嬉しいです。

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なな|敏感肌ケア研究所

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参考文献

1)日本化粧品技術者会(SCCJ) 化粧品用語集 https://www.sccj-ifscc.com/library/glossary

2)皮膚科医から見た敏感肌,江藤隆史, 日本香粧品学会誌, Vol.29, No.2,125-129, (2005) https://www.jcss.jp/journal/pdf/2902/2902_125.pdf

3)セラミドに着目した敏感肌のスキンケア,對間秀利 著,日本香粧品学会誌 Vol. 45, No. 3, pp. 201–208,2021 

4)日本化粧品工業会 紫外線防止の基本

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